伝統こけし・蔵王高湯系

  • 2017.09.07 Thursday
  • 14:16

皆さまこんにちは


今日は10系統の最後、伝統こけし蔵王高湯系のご紹介です。

山形県蔵王温泉を中心とした地域で作られます。

遠刈田の影響を受けて発達したため、遠刈田に似て胴はやや太めです。

頭は赤い放射線の飾りか黒いおかっぱになっています。
胴模様は、かさね菊、桜崩しなどが描かれます。

差し込み式の構造です。






梅木修一工人 作(4寸5分)
昭和4年生まれの工人さんです。

娘で弟子の梅木直美工人と山形市で暮らしながら製作に励まれています。

梅木父娘は度々マスコミに取り上げられる人気の工人さんです。

修一工人は平成7年に内閣総理大臣賞を受賞したほどの実力者です。

このこけしの表情が優しくて良いですね。

 

 





石山三四郎工人 作(1尺6寸)
明治42年生まれの工人さんです。

大工の家に生まれましたが大工にはならず

(現在の)箱根湯本に木地挽きの修行に出かけ木地ものを作りました。

やがて山形の山寺立石寺に戻り蔵王高湯系の描彩を学びました。

このこけし、丸顔で愛嬌のある可愛さから写真だけでは大寸のように感じません。
 

 

 

 


温湯・阿部常吉工人 作(8寸)
明治37年生まれの工人さんです。

やや太めの胴、頭の赤い飾り、菊の胴模様などが見てとれます。

極端に離れた大きな目も大きめのお顔には可愛らしく映ります。

見逃すほど小さな赤い口も愛らしい作品です。

蔵王高湯系の中では少し独特な作風とのことです。

 

 

 




大宮正安工人 作(5寸)
昭和11年生まれの工人さんです。

笠を被っています。

また、胴にはヤミヨと呼ばれる刳り貫きの輪がふたつ見られます。

胴模様はかさね菊のようですが褪色が進んで残念です。

面白いこけしですね。

師匠は父の大宮安次郎工人、兄に大宮安光工人がいます。

 







岡崎幾雄工人 作(8寸)
昭和10年生まれの工人さんです。

こんな感じのこけしを見るといつも「ガングロちゃん」と呼んでしまいます。

能登屋さんの工房栄治郎で製作・販売をされています。

岡崎栄治郎工人、直志工人から続く蔵王系統で

「栄治郎型」と称される伝統を受け継いでおられるそうです。

 

 







大宮安光工人 作(5寸)
昭和9年生まれの工人さんです。

先にご紹介した大宮正安工人のお兄さんです。

師匠は父の大宮安次郎工人です。

髷を結ったこけしです。

胴模様は草花のようですが、何のお花でしょうか。
赤や黒に対して緑とか紫の色は抜けやすいようです。

 

 

今まで10回に分けて伝統こけしを見てきました。

郷土玩具や土鈴にもブームがあるように

こけしにもブームがあるようです。

平成22年ごろからこけしへの関心が高まり、若い女性にも人気のようです。

こけ女とかこけ活などと言った新しい言葉も耳にします。

こけしへの関心が広まって日本伝統のこけしが受け継がれていくことを願います。

 

 

    日本土鈴館

 

 

コメント
石山三四郎・和夫ご兄弟は、伝統こけし作者との師弟関係を持っていないので「独立系」の作者です。岡崎幾雄氏の今回のこけし、彼が父祖から引き継いだ型(=栄治郎型・栄作型)ではないので、「蔵王系能登屋系列」を説明するサンプルとしては不適当です。このこけしはおそらく、戦後の「伝統こけし不況時代」に作った「新型」と思われます。
  • まとこ
  • 2018/08/15 11:46 AM
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