郷土玩具と狸・狐

  • 2017.10.23 Monday
  • 12:38

皆さまこんにちは


昔話にもよく登場する動物に狐や狸がいますね。

人や物に化けて悪さをするイメージです。

今日は郷土玩具になった狸や狐を見てみましょう。






高知・張り子の権九郎狸です。

権九郎狸はこの地方の民話に出てくる狸です。

頭はいいがいたずら好きで、寝ている御殿女中の目元に赤い紙を貼って、

「火事だ!」と叫び慌てふためく様子を楽しんだりしたそうです。

9センチ程の起き上がりです。

 

 




京都・小田益三さんの土鈴です。

たぬきの土鈴は日本各地にたくさんありますが、これはなんとも優雅なたぬきです。

プックリしたお腹には美しい季節の草花が描かれ、

控えめに持った徳利やお通帳さえもお洒落に見えます。

京都の狸は雅です。

 




   

狸は昔話にもよく登場します。

カチカチ山は京都・洛趣舎さんの土鈴です。

分福茶釜は栃木・相沢土比古さんの土鈴です。

カチカチ山の悪狸は泥の舟に乗って湖に沈んでしまいます。

この湖が河口湖で近くにはカチカチ山ロープウェイもあるそうです。

分福茶釜の狸は健気なたぬきですね。








狸と言えばこのイメージでしょうか。

岡山・セノオ民芸社の土鈴です。

立つにしても寝るにしても、大きなモノが邪魔そうですね。

 





 

そして狸と言えばやっぱり信楽ですね。

万兵さんの夫婦狸土鈴です。

 

 


次は狐を見てみましょう。

 



 

 

狐と言えばお稲荷さんですね。

日本中にはたくさんの稲荷神社があり

伏見稲荷大社やそのほかの神社でも狐土鈴が授与されます。

小さな鈴もまとめて飾ると迫力があります。

 

 

 



 

 

日本三大稲荷のひとつ、豊川稲荷の狐面です。

額に金色で描かれた宝珠が特徴です。

稲荷信仰は古来インドから伝わりました。

稲生(いなり)が転じたもので

農耕の神様が開運や商売繁盛の神様としても篤く信仰されるようになりました。

 

 

 


 

 

埼玉の泉孝次さんの狐面土鈴です。

郷土玩具コレクターの泉さんは趣味で日本の郷土玩具を小さな土鈴に作られました。

泉さんの作る郷土玩具の土鈴はどれも4〜5センチと小さいのに

オリジナルの郷土玩具を忠実に再現しています。

お雛様、張子、こけし、だるま、雉車…たくさんの土鈴があります。

 

 




 

 

柳屋さんの鳥取張子・因幡五狐です。

左奥から、恩志の狐・おとん女郎・しょろしょろ狐・経蔵坊・

手前が尾無し狐です。

因幡地方に伝わる民謡が題材になっています。

 

 

恩志の狐は恩志地方にいたという古狐で

灯りを灯して里人に悪さを働いていたそうです。

 

 

それに反しておとん女郎は健気です。

峠でひと休みする油屋の油を盗んで子育てをしますが

子育てが終わるとご恩返しにと女郎になってお金を作り

油屋に商売の元手として返しました。

 

 

しょろしょろ狐は山のふもとのショロショロと流れる水辺で

美しい女の人に化けて人をだましたそうです。

 

 

経蔵坊という名の男は

鳥取と江戸を三日で往復する御用を殿様から仰せつかっていましたが

途中狐を捕る罠に掛かって死んでしまいました。

殿様はたいそう経蔵坊を憐れんで供養しました。

 

 

尾無し狐は古狐で年増の女性に化けて

人をたぶらかす悪賢い狐です。

 

 

 

 

 

 

 


江州土鈴・中野和彦さんの狐土鈴です。

美しい着物姿の狐も白狐も宝珠を手にしています。

宝珠は霊力を象徴しているそうです。

稲荷神の御使いである狐は宝珠を銜えたり持っていることが多いそうです。

 

 

 

人をだますという印象の狸や狐ですが

悪さばかりをするわけでもなさそうです。

特に白い狐はお稲荷様の御使いとして幸運を運んでくれそうです。

 

 

日本土鈴館

 

インスタより「埼玉の土鈴」

  • 2017.10.16 Monday
  • 09:41

皆さまこんにちは

 

朝から冷たい雨が降っています。

日本各地で季節を前倒ししたような寒い朝になっているようです。

体調管理に十分お気をつけくださいませ。


今日は埼玉の土鈴をご紹介します。

埼玉の土鈴と言えば趣味作家の泉孝次さんの作品が有名です。




岡村天神(右下)を土鈴に仕立てたものです。

岡村天神は横浜の岡村天満宮で授与される土人形です。

特に花柳界(色街)での信仰が広かったことから岡村の色天神とも呼ばれます。

またその姿がスイカの切り口に似ていることから西瓜天神とも呼ばれます。

両袖をピンと張った独特のフォルム、子供の顔立ち、

他の天神人形と違うインパクトの強さは印象的です。泉孝次さんの作品です。
 

 

 

 




全て泉孝次さんの作品です。

新潟・水原の玉乗り馬、竹田の女だるま、松山の金天だるま、

九州湯前の雉車などの郷土玩具を5センチほどの小さな土鈴に作ってあります。

小さいので音色は響きませんが振ればちゃんと音が出ます♪

趣味でこのようなプロ顔負けの土鈴を作ってしまうとても器用な方でした。
 

 

 

 





張子の郷土玩具を土鈴に仕立てたものです。

首振りのうさぎや虎、猿の張子と狐の張子面の土鈴です。

浜松張子の代表作柿乗り猿の土鈴や張子面土鈴は

写真を見ただけではオリジナルの郷土玩具のようです。

オリジナルよりずっと小さいのですが、正確に再現されていて驚きです。





泉孝次さんのこけし土鈴です。

どれも小さくて、えじこの小さいのは10円玉くらいですが振ればかすかに音がします。

日本郷土玩具の会の会員で郷土玩具コレクターの泉さんは大変器用な方で、

郷土玩具を題材にたくさんの土鈴を作り愛好家の方々に分けてくださいました。

郷土玩具と土鈴を深く愛された方でした。





流し雛土鈴です。

鳥取に伝わる郷土玩具の流し雛には色々な形がありますが、

どれも女の子の健やかな成長を願って川に流します。

穢れや災いを人形に移す形代の身代わり信仰に根ざしています。

藁や紙で作る郷土玩具の流し雛を土鈴で再現しています。泉孝次さんの作品です。
 

 

 





入間市のさきたま土鈴・関昴子さんの作品です。

どれも手まりのような美しい土鈴です。

それぞれ7センチ前後の大きさの鈴で、

きれいな球体にそれぞれ工夫を凝らした透し彫りを施してあります。

とても手間のかかる土鈴だったため一時期しか作られませんでした。

女性らしい土鈴ですね。

 

 

埼玉の土鈴は如何でしたか。

泉さんの作品はどれも小さくて可愛らしい作品です。

さきたま土鈴もその美しい音色がご紹介できず残念です。

是非ご来館下さって直接お確かめください。

 

  日本土鈴館

 

舟の郷土玩具

  • 2017.10.11 Wednesday
  • 09:29

皆さまこんにちは


日本は島国、ぐるりと海に囲まれています。

土鈴館のある岐阜県のように海に接していない県の方がずっと少ないです。

その岐阜県にも夏は清流長良川に鵜舟が浮かびます。

日々の暮らしに欠かせない舟は郷土玩具にもなっています。

今日は郷土玩具になった舟を見てみましょう。





松江の蒸気船です。

松江の木工玩具は昔高い評価を得ていましたが、大正末期に一度廃絶しました。

しかし地元の民芸店主の努力により蒸気船とお宮が復活しました。

明治の中頃宍道湖に浮かぶ文明の乗物を

驚きと興奮のうちに見つめた感じがよく表された作品と解説がありました。
 

 

 





和歌山の鯨舟です。

昔、勝浦、太地浦は捕鯨の根拠地として栄えました。

漁師が自身の自慢の舟を木彫りなどで作り、

台座や車を付けて子供におもちゃとして与えたそうです。

漁師ならではの舟のポイントを押さえた作りになっていたそうです。

この風習から戦後鯨舟が観光みやげとして作られました。





そして郷土玩具の土鈴にもなっています。

少し丸みを帯びて彩色がとても美しいですね。

 






こちらは土佐の鯨舟です。

かつて土佐は紀州と並ぶ捕鯨の基地であり、

江戸の初めから室戸岬の郷士は海防を兼ねて内職として鯨を獲ったそうです。

漁の合間に自分の舟を木切れで作り帰りを待つ子供へのお土産にしました。

漁に出た父の思いは何処でも同じですね。

 

 











広島の田面船(たのもぶね)です。

こちらは漁の舟ではなく屋形船です。

八朔の日に行われる田面の節句(豊作祈願の行事)に由来するそうです。

こちらの田面船にも綺麗な絵が描かれています。

材料の経木はひしゃくやセイロを作る厚手のもので、大小様々な船が作られます。

男の子の初めてのお誕生日のお祝いに贈ったり、

船にシンコ細工の田面さまを乗せて幼児に引かせ、産土神詣でをしたそうです。







長崎のペーロン船です。

毎年4月、長崎全市を挙げて催される港まつりの最終日、ペーロン競漕が行われます。

そのペーロン船を模した郷土玩具です。

長崎開港と共に渡来した中国人により伝えられた木造舟で、

もともと中国福州地方の競舟だそうです。

お祭りは舟の中央に御幣や長刀、太鼓などを飾り付け、

総勢36人の若者によって競われるそうです。






茨城の宝舟です。

こちらは村松山虚空蔵堂の縁起物としての授与品です。

古代の独木舟(まるきぶね)に舟べりよりはるかに長い桁を4本渡した簡単な作りで

大漁と海の安全を祈ったものです。

昔は子供の十三詣りの参詣の時に買われたと説明があります。
 

 

 





野田末吉さんのうさぎの宝船土鈴です。

米俵やお宝と共に鶴亀が乗った宝船はとても縁起がいいです。

宝船にはよく七福神が乗っていますが

うさぎの宝船も可愛らしいですね。

いっぱい福を運んでくれるような気がします。

 

 

今日は郷土玩具や土鈴になった舟を見てみました。

 

  日本土鈴館

 

インスタより「山梨の土鈴」

  • 2017.10.06 Friday
  • 11:14

皆さまこんにちは



今日は山梨の土鈴をご紹介します。


 

山梨の土鈴と言えば先ず思い浮かぶのが甲州土鈴です。
甲州土鈴・斎藤岳南さんの十二支揃いです。

可愛らしい松竹梅がさりげなく描かれています。

酉のデザインが個性的ですね。

斎藤さんはいつも土鈴の背面に購入者の名前や日付、

家内安全や無病息災などのメッセージを丁寧に書いて下さいました。
 

 

 





信玄公を題材とした甲州土鈴です。

「疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山」を表す「風林火山」は

孫子の兵法の抜粋で実際は旗指物に書いたわけではないそうですが、

信玄公といえばこのイメージですね。

土鈴の顔も何となく知っている肖像画によく似ていると思いましたが、

実際の信玄公はもう少し細面のイケメンだったとか。

ドラマなどの影響で作られた武田信玄のイメージにぴったりの土鈴です。

 

 





甲州土鈴・斎藤岳南さんの弓張鈴と虫切り鈴です。

弓張鈴は、幼い武田信玄が小枝と麻縄で弓を作って遊んだとの逸話を基に作られ、

緑・空、黄・土、赤・火、白・水、黒・風の宇宙を表す五色の土鈴が弓に付けられています。

下段の虫切り鈴は小玉スイカ程の大きさでずっしり重く堂々とした土鈴です。

どちらも岳南さんの代表作です。
 

 

 





甲州土鈴が続きます。

だるまを抱えたうさぎの可愛いこと!

斎藤岳南さんは郷土玩具親子達磨もお作りでしたから達磨はお得意ですね。

うさぎの横はからくり人形で有名な岐阜県・高山祭の屋台です。

最初の試作品が少々太めだったので次回はスリムに、ぐっと本物らしくなりました。





甲州土鈴の丸鈴です。

1月の福寿草から12月の水仙まで季節の花土鈴です。

6月の紫陽花がちょっと別の場所で咲いていましたから、

代わりにウグイスに来てもらいました。

土鈴館の裏山は毎年春先にうぐいすが鳴き出して春の訪れを知らせてくれます。



 

 

 




2センチ程の五つの鈴を繋いだ虫切り土鈴とハンコの形の開運招福土鈴です。

昔は疳の虫や疱瘡、流行病から子供を守り無事育て上げることが難しく、

何かにつけて願をかけ、信心を深くして子供の成長を祈ったようです。

虫切り鈴を身に付け糸が切れて鈴が割れたら虫が切れたと信じられていました。

今も子に願う親の思いは同じです。

 

 

 





佐藤君三さんの天津司舞土鈴です。

天津司舞(てんづしまい)とは、

甲府の天津司神社に伝わる日本で最も古いとされる人形芝居です。

9体の木製のご神体は等身大で、年に一度舞が奉納されるそうです。

国の重要無形民俗文化財に指定されています。

 

 

 

 

 

 

 

佐藤君三さんの葡萄唐草魔除鈴です。

大振りのお茶碗ほどの大きさで手に乗せるとズッシリと重みを感じます。

法隆寺五重塔から発見された「除魔海獣葡萄鏡」をモチーフに作られた土鈴です。

海獣葡萄鏡は唐時代の代表的な鏡で、ツマミに亀などの海獣、

その周囲は葡萄を配した唐草模様で飾られています。

淡い黄緑の肌に濃い黄緑と紫の映える上品な土鈴です。

 








ちょっと写真では分かりにくいかもしれませんがよ〜く見て下さい。

何処かで見たことあるような…..そうです!

ミレーの代表作「種をまく人」です。

山梨県立美術館はミレー作品の収集に力を入れていて「ミレー美術館」とも呼ばれているそうです。

「種をまく人」も山梨県立美術館の所蔵品です。

この土鈴の作者は佐藤君三さんです。

 

 






明野窯の縄文土鈴です。

長野との県境にある井戸尻遺跡は日本の代表的な縄文遺跡で、

その出土品の土器や土偶、埴輪の文様を模した土鈴です。

地元の土を使って作られているそうです。

仮面の土鈴は出土品の雰囲気をよく表してあります。

音色の綺麗な土鈴です。
 

 

山梨の土鈴は如何でしたでしょうか。

土鈴を通して土地柄や歴史、風俗などを知ることができます。

土鈴収集の魅力のひとつだと思います。

 

日本土鈴館

 

 

「百段雛まつり」のお知らせ

  • 2017.10.03 Tuesday
  • 11:45

皆さまこんにちは
もう10月になりました。紅葉にはまだ少し早いですが、秋を感じる今日この頃です。



今日は来年に予定されているホテル雅叙園東京さんの百段雛まつりのご紹介です。

皆さま既にご存知かとは思いますが百段階段のご説明からさせていただきます。

(ホテル雅叙園東京さんのHPの紹介文を一部抜粋させていただきます。)

 

「百段階段」とは通称で、ホテル雅叙園東京の前身である目黒雅叙園3号館にあたり、

昭和10年に建てられた木造建築です。

7部屋を99段の長い階段廊下が繋いでいます。

階段で結ばれた各部屋はそれぞれ趣向が異なり

各部屋の天井や欄間には当時屈指の著名な画家達が創り上げた美の世界が描かれています。

昭和の竜宮城と呼ばれた当時の目黒雅叙園の建築の特徴は

装飾の破格な豪華さにあります。

平成21年3月、東京都の有形文化財に指定されました。

 

 

このような由緒ある百段階段で来年1月19日から百段雛まつりが開催されます。









 

 

日本土鈴館からも土雛や土鈴、郷土玩具のお雛様を出展致します。

このほどチラシが出来上がって送られてきましたので、皆様にご案内させていただきます。


 

近江・美濃・飛騨 ひな紀行   百段雛まつり
2018年1月19日(金)〜 3月11日(日) 10時〜17時 会期中無休
当日券 大人1500円(館内前売1000円)一般前売1200円 学生800円 小学生以下無料


百段雛まつりは毎年異なった地域から伝統のお雛様を集めて展示公開する新春の催しです。

今年は岐阜県と滋賀県の町々に伝えられている逸品のお雛様が展示されます。

11月に入ったら搬入のための作業など、具体的な準備が始まります。

館長も由緒ある百段階段に飾られたコレクションを見るのを今からとても楽しみにしています。

 



昔から来年の話をすると鬼が笑うと言いますが、鬼はこんな風に笑うのでしょうか?


 

 

今日は来春の百段雛まつりをご案内いたしました。

 

   日本土鈴館


 

郷土玩具とサル

  • 2017.09.29 Friday
  • 12:48

皆さまこんにちは

 

すっかり秋めいてきました。

寒がり館長は電気ストーブのお世話になっています。

皆さまもお風邪などお召しになられませんようご自愛ください。



さて、今日は郷土玩具になっている色々な猿を見てみようと思います。





堺土人形(湊焼)です。

手捻りの猿を組み体操のように重ねたもので、災いや厄がさるとの縁起担ぎです。

3匹重ねて喜々猿、7匹重ねて日和見猿、もっと数を重ねて千匹猿などと呼ぶそうです。

 

 





宮城のまさる守土鈴です。

東京赤坂の日枝神社の授与鈴ですが、堤人形で作られています。

猿は日枝神社にお祀りされている神様の使いとされています。

また、「魔が去る」とか「何事にも勝る」などの意味から縁起物として授与されます。

お母さん猿は赤ちゃんを抱きしめ、神主さんのようなお父さん猿が寄り添います。

縁結び、安産祈願、家内安全のご利益をもたらしてくれます。

 

 

 





熊本の木の葉猿、 手捻りで作られた素焼の猿です。

種類がいくつかあります。子供を抱いた猿や原始型、赤白青の斑点模様を付けたもの、

馬乗りや団子型、三猿など様々です。

昔(養老年間)春日明神遷座の時、

木葉山の赤土で平瓮(ヒラカ…土の皿)を作った残りの土を放り投げたら

猿の形をして何処かへ消え去りました。

その後天狗の様な精霊が現れ、

木葉山(雨山)の土で猿を作ると良い事が有るとお告げを残しました。

この様な縁起により、悪病災難除けや子授かりのお呪いとされています。
 

 

 





和歌山の瓦猿です。

瓦猿は子宝、安産のまじないとして日吉神社に祈願します。

古くから瓦職人が内職に作ってきた縁起ものであり、

土地の生活に結びついた信仰玩具です。
 

 

 




滋賀・日吉神社の神猿土鈴です。

坂本日吉大社の授与品で、本来は神木を使い水干姿の神猿を彫り上げた無彩色のお守りです。

しかし、日本土鈴館ですから神猿を再現した授与鈴をご紹介します。

神様のお使いの猿を求めれば、悪魔がさる、全てにまさる、の縁起物です。

 

 

 






福岡・古型博多人形4代中ノ子勝美作の笹野才蔵土鈴です。

高さ13センチの小品ですが、細部まで美しい土鈴です。

笹野才蔵は実在の人物、戦国武将可児吉長であり、

疱瘡神を退治したとの言い伝えに基づいた疱瘡除けの民間信仰から

江戸時代はたくさんの笹野才蔵人形が博多で作られていました。

中ノ子勝美さんが復活させた古型博多人形の代表作です。
 

 

 




平戸の舌出し猿・長崎 平戸焼とか三河内焼と言われる磁器製のからくりです。

首が動き、舌を出したり引いたりする人形です。

なんとなく不気味にも見える猿の顔です。

昔、文禄慶長の役で朝鮮から日本に連れられて来た陶工達は、

その後帰化して代々高麗焼風の焼き物を作りました。

ある時その3代目が藩主に三番叟を披露したところ、

その顔が猿に似ているからと「如猿」の号を賜わりました。

後年この話を元に作られたからくりです。

 

 

 









岐阜のさるぼぼです。

「ぼぼ」は飛騨地方の方言で人形のこと、猿の人形という意味です。

ごく簡単な赤い布人形です。それを模したのがさるぼぼ土鈴です。

赤は疱瘡除けの縁起の良い色です。

江戸中期から伝わる飛騨地方の代表的な郷土玩具で

高山の代表的なお土産になっています。







金沢張り子、中島めんやの猿の三番叟です。

お能の祝狂言のなかで邪気祓いの舞を舞う老人を人形にしたものです。

平成4年の年賀切手の図案になりました。

 

 






日吉琴コレクションの中から五猿の絵馬です。

普段はあまり行かなくても初詣に神社に行かれる方も多いですね。

願い事を書いて納める絵馬を題材にした土鈴は沢山あります。

これは小さな猿の土鈴が五匹、絵馬に付けられています。

郷土玩具の豆で五猿のようです。

豆(小さな)で五猿の土鈴版でしょうか。

作者不詳ながら昭和初期の土鈴です。

 

 

 

猿は昔話にもよく登場する動物です。

魔がサル、災いがサル、との語呂合わせもあり授与品の題材にも多く扱われる動物です。

今日は郷土玩具になった猿をご紹介しました。

 

  日本土鈴館

 

栃木の土鈴〜堀米人形

  • 2017.09.25 Monday
  • 11:08

皆さまこんにちは


土鈴のたくさんある地域と少ない地域がありますが、

栃木はご紹介したい土鈴がたくさんある所です。
以前のブログで相沢市太郎さんの佐野土鈴をご紹介しました。

今日は佐野土鈴と同じく栃木を代表する土鈴作家

堀米人形の山口壬三さんの作品をご紹介します。





桃太郎と犬、猿、キジの土鈴セットです。

鬼退治の後でしょう、鬼の代わりに宝物があります。

まるで鬼退治御一行の記念撮影の様な土鈴揃いです。

小さな土鈴ですがどれも細かいところまで丁寧に作られています。
 

 






金太郎とかぐや姫の土鈴です。

熊とお相撲をする金太郎ではなく

いわゆる「鯉金」と呼ばれる伝統的なモチーフの金太郎です。

鯉は天に登って龍になると言われ、

鯉金は江戸時代から男の子のたくましい成長と立身出世の願いを込めて愛されてきました。

かぐや姫は源氏物語にも「竹取の翁」と書かれた日本で最も古い物語です。

絶世の美女が月に住む人だったという宇宙を舞台にした壮大なお話が

日本で最初に作られた物語とは驚きですね。

 

 






「♪京の五条の橋の上、大の男の弁慶は、長い薙刀振りあげて、牛若目がけて斬りかかる♪」

正にその場面を土鈴にした牛若丸と弁慶の土鈴です。

斬りかかる弁慶をかわして、ひらりと欄干に飛び乗る牛若丸、

2人の出会いの名場面ですね。

これをそれぞれ手のひらに乗るようなサイズで

細かいところまで丁寧に作る技に博多人形の修行が良く生かされています。

 

 

 





♪坊や、良い子でネンネしな〜♪の歌で始まる「まんが日本昔ばなし」という番組。

市原悦子さん、常田富士男さん2人の声で繰り広げられる昔話は人気番組でした。

冒頭の歌と共に龍にまたがった坊やが登場します。

その龍に乗った坊やの土鈴です。

これからどんなお話が始まるのか、ワクワクする瞬間です。

 

 

 






堀米人形、山口壬三さんの十二支揃いです。

博多人形の修行をされただけあって丁寧な彩色が施されています。

土鈴の命は音色にあるという信念から、

変型の鈴でも良い音が出るよう工夫されています。

こちらの十二支、虎が一段と目立ってますね。




 

栃木の郷土玩具「うずまの鯰」を土鈴にしたものです。

郷土玩具はおしゃもじのような黒い木製で

カスタネットのように振るとカタカタ鳴るおもちゃです。

 

昔、日照り続きの巴波川の川岸で苦しんでいる鯰を一人の男が助けました。

やがて雨も降り日照りも収まり、何年か後…

その男の子供が巴波川でおぼれてしまいました。

その時どこからか何十匹もの鯰が現れ子供を担ぎあげて助けてくれました。

うずまの鯰は子供のお守り、災難除けのお守りとして伝えられています。

 








犬張子、眠り猫、月うさぎ、お雛様の土鈴です。

どれもそれぞれに可愛らしいです。

左甚五郎の作品とされる国宝眠り猫は日光東照宮の有名な彫刻ですね。

彫刻とは猫の向きが逆になっていますが牡丹に囲まれて猫がうたた寝しています。

また月うさぎは満月の中で餅つきをするうさぎ達です。

ハチマキをして頑張ってます。

お餅から小判まで溢れてまさにおとぎ話の世界ですね。

 

 

栃木にはたくさんの素晴らしい土鈴があります。

 

  日本土鈴館

 

 

 

郷土玩具の山車

  • 2017.09.20 Wednesday
  • 13:18

皆さまこんにちは


山、鉾、屋台など呼び名はいろいろありますが、

山車を巡行する日本の祭がユネスコ無形文化遺産に登録されたのは昨年の11月でした。

お祭りに欠かせない山車を模った郷土玩具は日本各地あります。

今日は郷土玩具の山車をご紹介します。

 





三重県の宮崎屋陶房・宮崎亮一さんの楼車鈴です。

伊賀市の上野天神祭を彩る美しい楼車を陶鈴に仕立ててあります。

造形も彩色も音色もとても素晴らしい鈴です。

 

 




岐阜 高山土人形・岩光子さん作・高山祭の屋台土鈴です。

春と秋の例祭に市中を引き回される屋台は動く陽明門とも呼ばれるほど豪華絢爛です。

飛騨の匠の技の最高傑作が並びます。






京都の祇園鉾です。

京都 日本三大祭りのひとつ、祇園祭りに巡行する山鉾を模したおもちゃです。

色々な種類の鉾がありますがこちらは長刀鉾です。

ヒモを引けば車輪が回って動きます。

 

 



  

 

 

祇園祭のハイライトである山鉾巡行の土鈴です。

祇園祭は八坂神社の祭礼で7月の1ヶ月にもわたる長いお祭りだそうです。

33基の山鉾巡行はユネスコ無形文化遺産に認められています。

お供えのちまきも土鈴になっています。






  


   

愛知県の郷土玩具・東照宮の山車です。

最後の作り手伊藤はるさんが亡くなりに廃絶してしまいました。

土鈴館にも伊藤さんの山車は1台しかありません。

失われていく郷土玩具を残すため再現、復元が試みられました。

写真は復元品ですが、忠実に再現されています。

長者町の二福伸、七間町の源氏、宮町の唐児、中市場町の名橋です。

土鈴館にはこの様に廃絶した郷土玩具の復元品コーナーがあります。

 

 





名古屋土人形の最後の作り手、野田末吉さんも東照宮の山車を土鈴にしています。

とても貴重なものだそうで、展示ケースの出し入れも緊張しました。

細部まで美しく正確に再現されていて、

さすがに日本屈指の土人形作家の作品だと思いました。

 






こちらはまた可愛い感じの土鈴です。

猫好きな楽猫庵・田中ちかさんの鯛御輿土鈴です。

御輿ですが一応山車の仲間に入るようです。

愛知県豊浜地区で催される天下の奇祭鯛祭り。

長さ10メートル以上もある鯛神輿を担いで町を練り歩き、

そのまま海の中に入っていくという勇壮なお祭りだそうです。

勿論担ぎ手は威勢のいい男衆なのですが、

猫好きな人が作ると猫ちゃんが嬉しそうに鯛神輿を担いでいます。

美味そうな鯛だにゃ〜と言ってるようでとても可愛い土鈴になりました。

 

 




佐賀県唐津神社の秋季例大祭の曳山の土鈴です。

赤獅子・青獅子・浦島・義経の兜・鯛・鳳凰丸・飛竜・金獅子・武田信玄の兜・

上杉謙信の兜・頼光の兜・珠取獅子・鯱・七宝丸の14基です。

14基の曳山は佐賀の重要有形民俗文化財に指定されているそうです。

巨大で豪華な漆造りの曳山は現在作るとすると

一基1億から2億円の費用が掛かるそうです。

 

 

 

 



岸和田のだんじり土鈴です。

岸和田だんじり祭りは勢いよく方向転換をするやりまわしが有名で、

時には家の軒先が壊れることもあるそうです。

ことしのだんじり祭りでもやりまわしの際にだんじりが倒れ

残念ながらけが人が出てしまったようです。

勇ましくて荒っぽい男祭りで有名です。

 

 

 

日本にはまだたくさんのお祭りがあり、山車があり、

その地域で郷土玩具になって人々に愛されています。

今日はほんの一部しかご紹介できませんでしたが

またの機会に別の山車もご紹介できればと思います。

 

  日本土鈴館

 

 

 

茨城の土鈴

  • 2017.09.13 Wednesday
  • 09:42

 

皆さまこんにちは

 

近くの田んぼでは刈り終えた稲がはさがけされています。

今朝はさわやかな秋晴れとなりましたが

台風が週末にかけて接近するとの報道もあり心配です。

今年はお天気をいつもの年以上に心配することが多いような気がします。




さて、今日は茨城の土鈴をご紹介したいと思うのですが、

実は茨城はとても土鈴の少ない地域のひとつです。

広い土鈴館を探し回っやっと見つけてきました。




筑波山大御堂の授与鈴です。

ガマの親子の土鈴です。

筑波山といえばガマの油なんだそうです。

「さあ〜さあ〜お立ち会い、御用とお急ぎで無い方はゆっくりと聞いておいで…」

の口上で有名なガマの油は江戸時代に使われた傷薬で、筑波の兵助という男が

筑波山にだけいるという「四六のガマ」から取ったと称する油を売るための口上を考え、

江戸浅草寺の境内で披露したのが始まりとのことです。

この鈴は陶製なので綺麗な高い音色です。

目はプラスチックのようですね。






こちらもやはりガマガエルです。

4センチほどの小さな鈴で、お腹に交通安全と書いてあります。

無事かえるに因んだお土産です。

コロコロと音色は良いです。



水戸の偕楽園は梅が有名ですが、お土産の梅鈴があります。

しかし残念ながら土鈴館の梅鈴は行方不明で写真でご紹介出来ませんでした。




日本土鈴館では県別に土鈴を展示していますが、

実は茨城県のコーナーはありません。

茨城の土鈴が少ないためコーナーが設けられなかったからです。

 

 

 

茨木にお住いの土鈴愛好家の皆様、今日はご満足いただけませんでしたね。

申し訳ありませんので、最後に茨木の郷土玩具を一つご紹介します。

 




真弓馬です。

村松山虚空蔵堂の修正会(正月15日)、例大祭(4月13日)で授与されます。

真弓馬は立ち絵馬式のもので、墨、赤、青、黄色の絵の具を使って

手綱や鞍などの馬具を描いた抽象的な馬の姿です。

残念ながら土鈴館の真弓馬はオレンジの板飾りがひとつ無くなっていました。

 

 

今日は少なかったですが茨木の土鈴をご紹介しました。

 

  日本土鈴館

 

 

 

伝統こけし・蔵王高湯系

  • 2017.09.07 Thursday
  • 14:16

皆さまこんにちは


今日は10系統の最後、伝統こけし蔵王高湯系のご紹介です。

山形県蔵王温泉を中心とした地域で作られます。

遠刈田の影響を受けて発達したため、遠刈田に似て胴はやや太めです。

頭は赤い放射線の飾りか黒いおかっぱになっています。
胴模様は、かさね菊、桜崩しなどが描かれます。

差し込み式の構造です。






梅木修一工人 作(4寸5分)
昭和4年生まれの工人さんです。

娘で弟子の梅木直美工人と山形市で暮らしながら製作に励まれています。

梅木父娘は度々マスコミに取り上げられる人気の工人さんです。

修一工人は平成7年に内閣総理大臣賞を受賞したほどの実力者です。

このこけしの表情が優しくて良いですね。

 

 





石山三四郎工人 作(1尺6寸)
明治42年生まれの工人さんです。

大工の家に生まれましたが大工にはならず

(現在の)箱根湯本に木地挽きの修行に出かけ木地ものを作りました。

やがて山形の山寺立石寺に戻り蔵王高湯系の描彩を学びました。

このこけし、丸顔で愛嬌のある可愛さから写真だけでは大寸のように感じません。
 

 

 

 


温湯・阿部常吉工人 作(8寸)
明治37年生まれの工人さんです。

やや太めの胴、頭の赤い飾り、菊の胴模様などが見てとれます。

極端に離れた大きな目も大きめのお顔には可愛らしく映ります。

見逃すほど小さな赤い口も愛らしい作品です。

蔵王高湯系の中では少し独特な作風とのことです。

 

 

 




大宮正安工人 作(5寸)
昭和11年生まれの工人さんです。

笠を被っています。

また、胴にはヤミヨと呼ばれる刳り貫きの輪がふたつ見られます。

胴模様はかさね菊のようですが褪色が進んで残念です。

面白いこけしですね。

師匠は父の大宮安次郎工人、兄に大宮安光工人がいます。

 







岡崎幾雄工人 作(8寸)
昭和10年生まれの工人さんです。

こんな感じのこけしを見るといつも「ガングロちゃん」と呼んでしまいます。

能登屋さんの工房栄治郎で製作・販売をされています。

岡崎栄治郎工人、直志工人から続く蔵王系統で

「栄治郎型」と称される伝統を受け継いでおられるそうです。

 

 







大宮安光工人 作(5寸)
昭和9年生まれの工人さんです。

先にご紹介した大宮正安工人のお兄さんです。

師匠は父の大宮安次郎工人です。

髷を結ったこけしです。

胴模様は草花のようですが、何のお花でしょうか。
赤や黒に対して緑とか紫の色は抜けやすいようです。

 

 

今まで10回に分けて伝統こけしを見てきました。

郷土玩具や土鈴にもブームがあるように

こけしにもブームがあるようです。

平成22年ごろからこけしへの関心が高まり、若い女性にも人気のようです。

こけ女とかこけ活などと言った新しい言葉も耳にします。

こけしへの関心が広まって日本伝統のこけしが受け継がれていくことを願います。

 

 

    日本土鈴館

 

 

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