張子の天神さま

  • 2019.06.25 Tuesday
  • 10:55

皆さまこんにちは


今日は張子人形の天神さまをご紹介します。





福島・久之浜(富岡)天神です。

土鈴館にある天神関連の資料によると久ノ浜張り子ではなく

久之浜から20キロほど離れた富岡町の富岡張り子・渡辺俊造さんの作品でした。

久之浜張り子は昭和50年代、富岡張り子は昭和40年代に廃絶となっています。

大変薄造の張子であるため補強のための薄い底部分が付けられています。

どっしりとして見えますが、持つと驚くほど軽い天神様です。








広島・常石張子です。

常石張子2代目・宮本峯一さんの天神さまです。

明治20年ころ、初代宮本久平が土人形は重くて壊れやすいので

これを張子で作ることを思いつき、木型の内側にぬらした和紙を何枚も張り付け

よく乾燥させてから胡粉を塗り泥絵の具で美しく彩色しました。

売り歩くときも軽くて壊れにくい張子人形は大変喜ばれました。

 








こちらも常石張子の天神様です。

常石張子の生まれたこの地域は古くから天神信仰の盛んな土地柄で

初節句のお祝いに天神人形を贈り

子供の健やかな成長を願う風習があったそうです。

三次土人形など天神様の郷土玩具がたくさん作られています。
 

 





愛知・豊橋張子の天神様です。

豊橋の土人形・赤天神は有名ですね。

しかしこちらは張り子の天神様、張子人形には柔らかな印象があります。

 








続いては浜松張子の三代目・二橋志乃さんの天神様です。

志乃さんが77歳のときの作品です。

「ころがし」などの郷土玩具で有名な浜松張子ですが

元々は明治維新によって禄を離れた士族が江戸の張子をまねて作り始めたといわれています。

初代、2代と受け継がれた木型を戦争で焼失してしまい廃絶の危機に見舞われました。

志乃さんが焼失した木型を復元しその伝統を4代目に引き継ぎました。






 

 

こちらは千葉柏市・下総張子の立ち天神と座天神です。

戦後に生まれた下総の諸玩具の一つ、張子人形は特に温かみがあります。

張子の中に豆が入れられていて振るとカラカラと乾いた音が響きます。

子供のために安くたくさんの種類が作られた下総の諸玩具の

素朴な味わいがよく表れた天神様です。

 

 

 

 


 

福島・三春張子の座天神と立ち天神です。

立ち天神の杉板には橋本広吉と書かれています。

高柴でこ屋敷の恵比寿屋16代広吉さんの作品と思われます。

一目で三春張子とわかる特徴的なお顔立ちです。

杉板に乗っているのも特徴の一つです。

三春張子は生き生きとした動きの一瞬を切り取ったような作風ですが

天神様はじっと動かれませんから、これは他の天神様と同じですね。
 

 

 



 

張子の天神様、最後のご紹介は埼玉・春日部張子です。

五十嵐健二さんの作品です。

春日部張子も五十嵐健二さんも今まで何度もご紹介してきました。

凄く離れた目元や今にも笑いだしそうな口元に温かみを感じます。

優しい天神様です。

 

 

 

 

 

最後は熊本・宇土張り子の坂本カツさんの作品です。

右手に笏を持っていたらしい小さな切れ込みがありますが笏はなくなっています。

長い刀は背中の後ろ側にまでまっすぐ作られています。

カツさんは幼いころからご両親と共に宇土張り子を作り

戦争ですべての型を焼失しても尚、宇土張り子に情熱を傾け

その生涯をかけて型を復元し後世につなげたました。

時間が経っていてもつやつやときれいな天神様です。

 

 

 

土人形に比べて軽くて壊れにくいなどの理由で広く人気を集めた張子人形。

ただ軽いとか壊れにくいというだけでなく紙でできた柔らかさや温かみが

私たちにほっとした思いを届けてくれるのだと思います。

今日は張子人形の天神様をご紹介しました。

 

日本土鈴館

 

十二支揃い・5

  • 2019.06.18 Tuesday
  • 11:35

皆さまこんにちは


今日は久しぶりに十二支揃いのご紹介です。

今回は土鈴のほか木地玩具もご紹介します。

 

 


 

和歌山・熊野一刀彫の十二支です。

正面、真上。斜め横からの写真を撮ってみました。

細長い板の上に十二支が順に並んでいます。

木の国熊野の檜材を使った郷土玩具です。





 

鳥取・岩井温泉の木地玩具です。コロンとかわいい十二支ですね。

おぐら屋さんで作られる木地玩具は全てろくろ挽きです。

十二支は木地師小椋幸治さんの考案で昭和の初めころに作られるようになったそうです。

小さくて愛らしい作品です。







 

長野・奈良井土鈴の小判持ち十二支土鈴です。

(ただ丑は小判バージョンが見当たらず宝袋十二支から登場願いました。)

中西康二さんは脱サラの郷土玩具師とは思えないほど器用な方で

土鈴のほか、からくり人形や土人形、木版などを制作販売されました。

今でも大変人気の高い土鈴です。







  

 

佐賀・聖心房人形、倉富博美さんの多久土鈴です。

珍しい雅楽シリーズの十二支です。

雅楽の楽器には詳しくないので(他の楽器に詳しい訳でもありませんが…)

子(篳篥)・丑と寅(笙)・卯(龍笛)・辰(篳篥)・巳(琵琶)

午(釣太鼓)・羊(三ノ鼓)・申(笏拍子を持っていたと思います)

酉(筝)・戌(鞨鼓)・亥(鉦鼓)だと思います(多分…)

干支の十二支はもちろん、それぞれの雅楽器も丁寧に作られて見応えのある十二支です。

 

 

十二支揃いのご紹介は準備に少々時間が必要ですが

又の機会にぜひ十二支揃い・6もご紹介したいと思っています。

 

日本土鈴館

 

堂内天神

  • 2019.06.11 Tuesday
  • 09:52

皆さまこんにちは


天神人形の中に堂内天神と呼ばれる天神さまがあります。

堂入り天神ということもあるようです。
文字通り天神さまを祠堂にお祀りしたお人形、お社に鎮座する天神さまです。
今日は日本各地の堂内天神をご紹介します。










宮城県・堤土人形の立派な堂内天神です。

脇に狛犬も控え灯籠や階段もあり、1番高い祠堂に天神さまがいらっしゃいます。

とても豪華な堂内天神です。

芳賀強さんの作品です。

 

 

 

 

 

 

 

 

伊東征隆さんの二つの堂内天神です。

伊東さんは佐賀で尾崎人形を制作していましたが、

後に福岡の柳川に移り、柳川藩の御用窯であった蒲池窯を復活されました。

向かって左が尾崎人形として作られた土人形の堂内天神

右が柳川の地で作った蒲池窯の堂内天神土鈴、白がとても綺麗な土鈴です。

どちらも小さな狛犬が控えています。

 

 

 





岡山・津山土鈴、妹尾信行さんの堂内天神です。

向かって左は土人形、右は土鈴になっています。

祠堂というより洞窟のような祠にみえます。

赤い天神さまが優しいお顔で可愛らしいです。









青森県弘前・下川原人形の堂内天神です。大きな方はかなり古い作品です。

鳩笛で有名な下川原人形ですがその始まりは江戸時代にさかのぼります。

陸奥弘前藩主津軽寧親公が雪深いこの地で冬の副業として

子供のおもちゃ(土人形)を作るよう命じたことから生まれたそうです。

現在は堂内天神人形はあまり作られていないかもしれません。

天神さまがまるで影のように描かれています。

 

 

 

 

 

 

 

松江宮といいます。少し趣の違う作品です。
木工玩具のひとつで10センチほどの大きさです。

扉を開けて中に小さな天神人形を入れて遊びます。一種のドールハウスです。

昔は、女の子は姉さま人形、男の子は松江宮で遊んだそうです。

廃絶から復活されたものです。

 

 

 

 

 

 


 

鳥取県のサイズが5,6センチの小さな堂内天神です。

鳥取地方は昔から天神信仰の盛んな地域で、

お堂に座る小さな天神様は身近なお守りとして広く信仰を集めていたそうです。

朱色のお堂、天神様には子供の疱瘡除けの願いが込められています。

 

 

 

今日は祠堂にお座りになる天神様をご紹介しました。

日本土鈴館

 

郷土玩具のトラ・土鈴2

  • 2019.06.04 Tuesday
  • 12:37

皆さまこんにちは

今日はトラ土鈴のご紹介の2回目です。
早速見ていきましょう。



 

大分・日出(ひじ)人形の可愛らしい虎土鈴です。

作者の門上修さんは別府湾に臨む日出町で昭和55年ころから土人形や土鈴を作り始めました。

美術学校出身の門上さんは脱サラをして人形師を志し

同じく美術学校出身の奥様と共に温かみのある作品をたくさん制作されました。

その特徴はシンプルなフォルムと優しい色彩、何より温かみのある作風です。

残念ながら若くして亡くなられた門上さんですが

奥様が日出人形をしっかり守っておられます。







 

佐賀・聖心房人形(多久土鈴)倉富博美さんの虎土鈴です。

お宝でも入っているのでしょうか、瓶をしっかり抱えた虎は威嚇しているようです。

この多久町は古くから大陸文化の影響を強く受けて孔子廟「多久聖廟」があるそうです。

以前にもご紹介しましたが多久土鈴には大陸の雰囲気を感じさせる作品が多いようです。

 

 

 

 



 

福岡・古型博多人形師中ノ子勝美さんの虎加藤土鈴です。

小さな作品ですが写真を見ると中型の土人形を見るようです。

小さくても細部までとても精巧に丁寧に作られています。

童の加藤清正と降参した虎の表情がいいですね。

美しい土鈴です。





 

広島・宮島土鈴(越智宗政さん)の親子虎土鈴です。

子供を守る親虎は表情も厳しいです。

越智さんの土鈴には特有の質感があるように感じます。

塗った顔料を一度洗い流してもう一度上塗りすることにより古色が醸し出され

土鈴に独特の味わいを添えているのだそうです。

 

 

 

 



 

 

長野・奈良井土鈴(中西康二さん)の作品です。

左の親子虎と右の十二支揃の寅土鈴のトラを見比べると面白いです。

基本は同じですが、親虎は子供を守るためより一層厳しい目つきです。

寅土鈴は小判抱えシリーズの寅で、赤い袋と小判が鮮やかです。

奈良井の郷土玩具は土鈴や土人形、木地玩具、からくり人形などたくさんの秀作があります。

中西さんにはもっと長生きをしてたくさんの郷土玩具を見せていただきたかったです。








 

愛知・松田克己さんのきらら鈴です。

丸鈴に干支が浮き出るように描かれた十二支揃の寅土鈴です。

擬人化されたりデフォルメされたりすることなく

本物の虎が本当に動いているようなリアルな仕上がりです。

粘土の混ぜられた雲母がキラキラと光って写真で見るより実際手にした方が

この土鈴の美しさがお分かりいただけるように思います。





 

 

京都・洛趣舎さんの作品です。

左はおとぎ話一休さんの虎退治を土鈴にしたものですね。

右は十二支揃の寅土鈴です。

干支がそれぞれお座敷遊びをしているようなちょっと変わった十二支揃です。

洛趣舎さんの土鈴にはたくさんの種類があって、

作品に京都らしさも込められていて楽しいです。

まさに「洛趣舎」ですね!

 

 

 

虎の土鈴、まだまだあるのですが今回はこのあたりで…

土鈴以外の郷土玩具の虎さん集合はまたの機会にご紹介します。

 

日本土鈴館

 

郷土玩具のトラ・土鈴

  • 2019.05.27 Monday
  • 14:07

皆さまこんにちは

 

五月というのに連日びっくりするような暑い日が続いています。

昨日の北海道は燃えるような暑さだったようです。

熱中症で亡くなられた方もいらっしゃるようです。

言い尽くされていますが水分補給と適切な冷房で

これからが本番の蒸し暑い日本の夏を元気に過ごしましょう。

 

 


さて、トラは干支になっている事もあり、

またその強さが魅力的なためたくさんの作品が作られています。

今日は郷土玩具・土鈴のトラを見てみましょう。


土鈴は必ずと言ってよいほど干支の作品がつくられます。

12年に一度は寅土鈴が作られますからたくさんの作品があります。








 

 

名古屋土人形・野田末吉さんの作品です。

どれも小さな作品ばかりですからこうして写真で拡大してみると

細部の丁寧な絵付けや細かな表情などがよくわかります。

上部の虎土鈴は仔猫のようにも見えます。

よちよちと今にも歩き出しそうな愛らしさがあります。

下段左の寝そべった虎は味のあるお顔をしています。

見ようによってはおっさんの顔に…

右の絵馬土鈴は十二支揃の寅年のものです。

竹林でのんびり過ごす穏やかな虎ですね。






 

 

愛知・富田土鈴(起土人形)5代目中島一夫さんの作品です。

左の腰高の虎は10センチほどの大きさですが力強い姿に作られています。

右の裃シリーズ・十二支揃の寅土鈴は高さが20センチを超す大型土鈴です。

青地に白のドット柄の定番の裃姿の十二支はいろいろなサイズがありますが

この特大の作品はやはりとても見応えがあります。

5代目が亡くなられてからはこのような大型の土鈴が作られなくなってしまいました。

6代目の一子さんにも体調に留意され富田土鈴の制作を続けていただきたいです。







 

岩手・花巻土人形(平賀章一さん)の虎土鈴です。

特徴の一つである可愛い小花模様が描かれています。

花巻土人形の歴史は古く、

京都の伏見人形や仙台の堤人形に倣って江戸時代に作られるようになりました。

しかし時代の流れに飲み込まれるように次第にすたれてゆき

昭和の中頃には中絶の危機に見舞われました。

この伝統の技を復活させ今に伝えてくれたのが平賀孫左衛門さん・章一さん親子です。

この美しい花巻土人形を今に伝えてくれたことに感謝です。

 

 

 



 

福島会津若松・中湯川人形(青柳守彦さん)の虎土鈴です。

青柳さんの作品は柔らかい色合いでほのぼのとした作品が多いように思いますが

この虎土鈴もまるでおねだりでもしているかのような表情です。

昭和の終わりころ、人形師を志し精進されて

平成最後の年賀切手のデザイン「来らんしょ亥」が採用されるまでに有名になられました。

若い方々にとても人気がありこれからの郷土玩具界をけん引して頂きたいと思います。
 

 

 

 


 

 

香川・大崎文仙堂(大崎豊五郎さん)の裃寅土鈴です。

郷土玩具研究家であった大崎さんは大崎文仙堂を名乗って自らも郷土玩具の制作をされました。

讃岐地方に伝わっていた嫁入り人形を

粘土におがくずを混ぜて乾燥させる練り物のような昔ながらの製法で再現したり

運動人形のような廃絶玩具の復元に努めたりしました。

その一方、自ら創作した郷土玩具もたくさん作りました。

大崎さんの作品は素朴で温かみがあってユーモラスです。

大崎さんの亡くなられた後も

その作品は多くの愛好家を惹きつけています。

 

 





 

奈良・赤膚焼(小川二楽さん)の虎土鈴です。

奈良の工芸品である赤膚焼は江戸時代から続く窯元です。

この地の特産のである金魚の土鈴が有名です。

どれもササっと絵付けをしたような感のある二楽さんの土鈴は

独特の仕上がりになっていて味わいがあります。

 

 

 

 

虎を扱った土鈴はまだまだたくさんあります。

一度でご紹介できませんでしたから次回に続けさせていただきます。

 

日本土鈴館

 

組物の土人形

  • 2019.05.21 Tuesday
  • 10:18

皆さまこんにちは


歌舞伎はお好きですか?
私はテレビで観ることはたまに有っても

劇場に出かけて観劇する機会は残念ながらほとんどありません。
歌舞伎は話の筋はもちろん、その背景や歌舞伎の世界の決まりごとなど

知識が無いと理解の難しい伝統芸術ですね。

しかし昔は今のように格式の高い芸術ではなく庶民の最大娯楽、お楽しみだったようです。

傾く(かぶく)やかぶき者という言葉が表す派手な衣装を着けた奇抜な踊りが好まれ、

それを取り入れたかぶき踊りが歌舞伎として大流行し

現代まで伝統を守って受け継がれているそうです。



庶民の楽しみが限られている昔、歌舞伎の人気は絶大だったようで、

名場面を切り取った土人形も好んで買われたようです。

 

 

 

 





 

 

犬山土人形の「曽我の対面」です。

鎌倉時代の曽我兄弟による仇討を題材にした歌舞伎の演目です。

左が曽我五郎、右が曽我十郎です。

親の仇・工藤祐経と対面して盃を受ける時

五郎が「親の仇!」と工藤祐経に襲い掛かろうとするのを

兄の十郎が「粗相のないように」とたしなめる名場面です。

江戸歌舞伎で大変人気のあった演目だそうです。

 

 

 

 

 

 






 

本朝二十四孝、武田勝頼と長尾家の八重垣姫です。

長尾家が武田家から借りた家宝の兜を返さないことから両家が争っていました。

両家の争いを解決するため勝頼と八重垣姫は婚約しましたが

なかなか兜が返されず、兜を取り戻すべく変装をして長尾家に勝頼が忍び込みます。

ところが変装を見破った長尾謙信は勝頼を殺すため遠方に使いに出します。

このたくらみを知った八重垣姫は家宝の兜をもって勝頼のあとを追いかけます。

兜を持った八重垣姫に諏訪神社の神の遣いである狐の霊力が乗り移って

凍り付いた諏訪湖を一気に渡り切ったというお話です。

写真は岐阜・市原土人形(瑞浪土人形)の作品です。

 

 

 


土人形の組物は歌舞伎の場面だけでなく歴史上の人物なども人気があります。
 







 

 

三河大浜土人形・桶狭間の合戦です。

左が織田信長、右が今川義元です。

江戸時代中期に書かれた読本「絵本太閤記」は豊臣秀吉の出世物語を

さし絵を交えて出版した読み物で大評判になったそうです。

その人気にあやかって人形浄瑠璃や歌舞伎でも太閤記は扱われるようになったようです。

その中にはたくさんのお話が含まれていますが

木下藤吉郎として信長に仕える姿も多くの物語になっているそうです。

歴史的にも意味深い桶狭間の合戦は土人形の題材としても人気がありました。

 

 

 

組物になっている土人形はまだまだたくさんあります.

最近館長がお人形を展示ケースから取り出して整理をしています。

整理がもう少し進みましたらまたご紹介させていただきます。

 

日本土鈴館

 

八日堂の蘇民将来

  • 2019.05.13 Monday
  • 11:57

皆さまこんにちは


蘇民将来と呼ばれる信仰玩具があります。その起源は遠く室町時代に遡るようです。
信濃国分寺の八日堂縁日に頒布される蘇民将来符は特に有名です。

信濃国分寺は毎月8日に鎮護国家のお経が読まれることから八日堂と呼ばれるようになり
毎年1月8日の縁日には蘇民将来符を求める多くの参詣者で賑わうそうです。





八日堂の蘇民将来符はドロヤナギの木で六角錐の形に作られています。
頭頂の笠と呼ばれる部分は三角形が6個並んだ形になっていて魔除けの模様となっています。
笠の下のアミと呼ばれる網状の模様は災いを睨み返す目を表しているそうです。

頭頂と胴の間の模様は松の葉と呼ばれお正月の松飾りを表します。

護符には「大福・長者・蘇民・将来・子孫・人也」と二文字ずつ墨と朱で書き分けられています。

文字の下の模様はオビといい注連縄を表現しています。
下半分に大きく描かれた魚のような模様もアミと呼ばれ、

山伏が呪文を唱えて九字を切る作法を絵に描いたものだそうです。

 

 





 

 

また、八日堂には古くから蘇民講と呼ばれる護符作りに携わる人々の組織があり

蘇民講の家々ではその家に伝えられる独特の七福神を描いた絵蘇民を作ります。

1月7日にはその絵蘇民を国分寺に持ち寄りご本尊のご祈祷を受けてから

翌8日の朝、参詣者に頒布するそうです。

写真の絵蘇民は昭和3年の縁日に頒布されたものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらは埼玉県・竹寺の蘇民将来です。

基本的に八日堂の蘇民将来によく似た形になっています。

八日堂の形が日本の多くの地域に広がって広く信仰の対象となりました。

こちらはミズキの木を削って作られ「牛頭天王」の焼き印が押されています。

 

牛頭天王は竹寺のご本尊です。

牛頭天王は蘇民将来信仰の起源とされる神様で元々はインドの祇園精舎の守護神だそうです。

 

 

 

 

 




 

こちらは山形・笹野観音堂の蘇民将来です。

柳の木で作られるこの蘇民将来は柱状で頭頂は扁平、卍の書き込みがあります。

同じく六角形ですがやや末広がりの形をしています。

 

 

 

 




 

こちらは笹野一刀彫・辰五郎さんの蘇民将来です。

頭頂には★印が描かれています。

柳の木を八角形に切り出してそれぞれの面に「蘇民将来乃子孫也」と書かれています。

色も鮮やかで、笹野一刀彫の雰囲気が漂っています。
 

 





 

京都・八坂神社の蘇民将来は八角形をしています。

中心部に穴が貫通していて撚りをかけた麻ひもが通されています。

書かれているのは「蘇民将来乃子孫也」です。

 

 

これらのほかにもたくさんの蘇民将来符が各地にあります。

紙製の護符や板状の護符もありそれぞれ厄除けや家内安全を祈って飾られます。

 

 

 

今回は上田市立信濃国分寺資料館の「蘇民将来符」を参考にさせて頂きました。

 

日本土鈴館

 

 

端午の節句

  • 2019.05.05 Sunday
  • 07:46

皆さまこんにちは

 

今日は端午の節句にまつわる郷土玩具をご紹介します。
お雛祭りに対して男の子のお祝いとして五月五日は端午の節句をお祝いします。

端午の節句を遡ると奈良時代の「五月忌み」に辿り着くそうです。

実はこれは早乙女と呼ばれる田植えをする娘が

稲の神様に豊穣を祈願する為に執り行うしきたりでした。
邪気を祓うといわれる菖蒲と蓬を軒につるして身を清めてから田植えをしたそうです。


そのような風習がある日本に中国の風習や言い伝えが入ってきました。
それは、昔々の中国、楚の国の屈原という人の話です。

楚の王に仕える屈原は人望がある家臣でしたがある時罠にはまり失脚してしまいます。

絶望した屈原は5月5日に川に身を投げてしまいます。

楚の国の人々は屈原の死を悲しみ、

太鼓を打ち鳴らしながらちまきを川に投げ入れ

屈原の遺体が魚に食べられないようにしました。


また、昔の中国では5月に悪い病気が流行りたくさんの死者が出ることから

特に5が重なる5月5日は悪日とされ、

人々は厄除けの為菖蒲を軒に吊るし、菖蒲酒を飲む習わしがありました。

このような話が奈良時代に日本に伝わり、早乙女の五月忌みと融合しました。

時代が進み武士が台頭してくるにつれ、菖蒲は尚武につながるとして縁起が担がれ、

さらに江戸幕府によって端午の節句が公的な行事として行われるようになり、

男の子の立身出世、厄除け、招福のお祝いとして広く庶民にも広がったそうです。

 

 

 

 

 

前置きが長くなってしまいました。


 

兵庫・葛畑人形の鉞金太郎です。

力強く堂々とした金太郎は端午の節句には欠かせないお人形です。

葛畑人形は江戸時代から代々前田家に伝わる郷土玩具で

写真は4代目・前田俊夫さんの作品です。

精力的に土人形を制作された4代目が昭和の終わりに亡くなられ

この魅力的な郷土玩具は残念ながら廃絶してしまいました。





 

こちらの金太郎は長崎・古賀人形の熊金です。

鉞を振りかぶり熊を踏みつける勇ましく力強い金太郎です。

作者は18代目小川亨さん、古賀人形は代々小川家に伝承されています。



 

 

 

和歌山・御坊人形の虎加藤です。

御坊人形は練物と呼ばれる製法で作られています。

和歌山地方では子供の生まれた時やお節句に御坊人形を贈る習わしがあるそうです。

虎加藤は郷土玩具によくみられる題材です。

 

 

 

 

 

 

岐阜・市原土人形(瑞浪人形)の虎加藤です。

秀吉に仕え賤ケ岳の戦いで名を上げ、「賤ケ岳の七本槍」に数えられた加藤清正の

勇猛果敢な活躍から虎退治のお話が有名になっています。

朝鮮出兵の際の虎狩りの様子が伝わったのかもしれません。

勇ましい武将を飾るのは武士の習わしとして端午の節句が広まったからでしょう。

 






 

秋田・中山土人形の熊金です。

赤物の郷土玩具は鴻巣が有名ですが子の金太郎も真っ赤です。

昔から赤色には魔物や災いを遠ざける力があると信じられています。

子供の健やかな成長を祈って真っ赤な金太郎が作られています。


 



 

愛知・三河大浜土人形の鯉抱きです。

大浜土人形は明治の20年代から代々禰電腸箸謀舛錣訶攷遊舛任后

鯉の滝登りと言われるように鯉は立身出世の象徴のような魚です。

水しぶきを上げて跳ねる鯉を抱きかかえる姿は力強いとともに可愛らしいです。

 

 

 

 

 

 

こちらは一転、愛らしい金太郎土鈴です。

熊にまたがったり鯉にまたがったりしています。

小さな金太郎土鈴をちょっとさりげなく飾るのも素敵です。

この土鈴はとやま土人形の作品です。

 

 

今日は端午の節句に飾られるお人形をご紹介しました。

良いお天気に恵まれた令和元年のこどもの日

世界中の子供たちが幸せに健やかに成長しますように……

日本土鈴館

 

 

牛乗り天神

  • 2019.04.24 Wednesday
  • 10:14

皆さまこんにちは

 

先週末、日本土鈴館の枝垂れ桜が満開になりました。

咲き始めは濃いピンク色であでやかです。

だんだん白っぽく変わって散り始めます。

今年もとても美しく咲いてくれました。




 






さて、天神さまと言えば牛。切っても切れないご縁です。

でも何故なんでしょうか。

天神さま、すなわち道真公は承和12年6月25日の丑の日に生誕され、

延喜3年2月25日の丑の日に亡くなられたそうです。
また、道真公は「自分の亡骸を牛に乗せ、牛の行くところに葬るよう」

遺言を残したとも伝えられているそうです。
生前から牛を深く慈しんだ天神さまは牛と深く結びついているようです。

郷土玩具の題材の大定番の天神様。

今日は牛に乗った天神様をご紹介しましょう。

 

 

 

 


 

愛知・起土人形(富田土鈴)5代目中島一夫さんの牛乗り天神土鈴です。

牛の身体の真珠のような白色が起の特徴にひとつです。

威厳のある天神様を乗せた牛は流し目っぽい愛嬌のあるお顔です。

 

 

 




 

岡山・津山土鈴の牛乗り天神土鈴です。

作者は妹尾信行さんです。

津山土鈴はセノオ民芸社(妹尾家)で作られています。

岡山は道真公に縁のある土地柄で昔から天神信仰が盛んだそうです。

黒牛に赤い衣の天神様が映えています。

 

 






 

こちらも黒牛に乗った赤い衣の天神様です。

岩手県遠野の附馬牛人形です。

土人形とは少し違い独特の製法で作られています。

粘土に和紙を混ぜて成形し、天日でしっかり乾燥させたのち彩色します。

附馬牛人形は江戸の終わりころから明治にかけて作られましたが廃絶しました。

昭和になって復活、佐々木孝和さんの附馬牛人形が作られました。

 

 

 

 






 

秋田・八橋土人形の牛乗り天神です。

八橋土人形最後の作り手だった道川トモさんの作品です。

なんといっても牛のぱっちりした目が特徴的です。

長いまつげが少女漫画のようです。

八橋土人形はその伝統を守るため伝承の会が立ち上げられしっかり後継されています。

今年の年賀切手の干支亥も伝承の会によって製作されています。

 

 







 

張り子の牛乗り天神です。

春日部張子・五十嵐健二さんの4つ輪の牛乗り天神です。

天神様も黒牛も何となくとぼけた表情です。





 

岐阜県・高山土人形初代岩信成さんの小さな牛乗り天神です。

大正時代に高山に窯を築き高山土人形を作り始め

娘の光子さんに受け継がれましたが現在は廃絶となってしまいました。

手のひらにすっぽり収まるほど小さな天神様ですが

とても威厳のあるお顔立ちで岩さんらしい作品です。





 

京都・伏見土人形の牛乗り天神です。

日本の土人形の元祖であり根幹ともいうべき土人形です。

日本各地の土人形のほとんどは伏見人形にあこがれ、伏見に倣って作られてきました。

その始まりは安土桃山時代にまでさかのぼり、伏見稲荷の門前で売られました。

江戸時代には最盛期を迎えひしめくように伏見人形の窯元が並んだそうです。

現在は唯一「丹嘉」さんで受注制作されています。

 

 

 

 

 


 

最後は埼玉・船渡張子の首振り牛乗り天神です。

船渡張子は埼玉の郷土玩具ですが

古くから東京の亀戸天満宮の門前で売られていたそうです。

黒牛はゆらーりゆらーりとのんびり首を揺らします。

首振りの張子はゆったりしていて眺めていて飽きません。

のんびり行こうよ♪と言っているようです。

 

 

 

 

今日は牛に乗った天神様のご紹介でした。

日本土鈴館

 

 

郷土玩具・紙や布のお雛様

  • 2019.04.16 Tuesday
  • 10:56

皆さまこんにちは

 

四月に入ってからの思わぬ降雪に震えた桜や雪柳も見事に満開になり

今日は抜けるように青い空に花々が美しく映えています。





 

 

 


月遅れの雛祭りも終わりましたが、今日は紙や布で作られたお雛様をご紹介します。

子供の頃幼稚園などで色紙や端切れを使ってお雛様をつくりましたが、

今でも小さな子たちは紙のお雛様を作るのでしょうか。
 

 

 



 

宮崎日向地方に伝わる青島雛、上質の和紙を使って手作りされた立ち雛です。

お顔はとても小さく衣装はとても豪華です。

夫婦円満や安産のご利益があると信じられています。

 

 

 

 

 

 

 

鳥取の紙雛・田舎雛です。

江戸時代に作られるようになったというこのおひな様は

素朴な材料やその鄙びた見た目から田舎雛と呼ばれるようになったそうです。

昔は雛遊びは身分の高い人々の行事でしたが次第に庶民にも広がっていきました。

男雛は烏帽子と笏、女雛は小さな冠と扇を金紙で簡単につけただけですが

庶民ならではのお内裏様に愛着を感じます。




 

 



 

宮崎・青島神社の神雛です。夫婦雛または願掛け雛とも呼ばれます。

小さなお顔のお内裏様が白地に赤い格子の衣を着て金紙の帯を締めています。

縁結び、安産、病気平癒、家内安全、厄除け…

たくさんの願いを込めて神社に奉納するそうです。

昔は岩田帯(今はあまり見ませんね)に挟むための小さな神雛もあったそうです。

 


 

 





 

こちらは鳥取、有名な流しびなです。

立ち雛を簡素化した紙雛です。

小さなお顔は粘土を丸めて目と口を一筆でさっと描きます。

因州赤染紙で作った衣に胡粉で梅鉢の模様を描きます。

写真のように雛10組を竹串でまとめたものや

一組を折敷やさん俵に収めたものなどいろいろあります。

形代(かたしろ)を厄除けとして川に流すという民間信仰の名残だそうです。

 

 

 

 

 



 

 

鹿児島・薩摩の糸雛です。薩摩雛とか神雛とも呼ばれるようです。

お人形の芯には竹を使い、その先端を麻糸で覆ってお顔に見立てます。

残った麻糸は長く垂らして髪の毛に見立てます。

衣装に用いる和紙は上質なものを選んで作ります。

写真左のより豪華な糸雛は40センチほどもあり昭和初期の作品です。

今ではこのような作品は見かけなくなったとのことです。








 

松本・七夕人形の吊るし雛です。

おひな様ですが五節句の七夕飾りとして軒先に飾られます。

その歴史は古く、江戸中期の頃から松本や安曇野に受け継がれている文化です。

軒先につるされたおひな様には生まれた子供の穢れを祓い

その健やかな成長を願う気持ちは込められています。

 

 

 



 





 

一年中毎日が雛祭りの日本土鈴館では雛の間にたくさんのおひな様を飾っています。

美しい端切れを利用してひと針ひと針丁寧に作られたつるし雛や

昭和になって大量生産された安価な雛段掛け軸や

ちりめんや金襴、緞子の豪華な布を張り合わせて作られた押絵雛など

布や紙で作られたおひな様も常時展示しています。

 

 

 

今日は土鈴館のおひな様をご紹介しました。

日本土鈴館

 

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